2007年8月 準備

2007年10月17日の半年くらい前

妻は数年前から犬を飼いたいと言っていました。昔、実家でビーグルを飼っており大変に気に入って可愛がっていたと妻の実家で聞いたことがあります。

僕は実家ではずっと社宅やマンション暮らしだったので犬を飼ったことなどありません。

自分なんかが動物を本当に最後まで責任をもって面倒を見れるのかとても不安で、めんどくさくなったりして捨てることを考えたりするんじゃないか?とか

エサにかかるお金や病気したときの病院や保険など経費を計算してみると結構かかることもわかり、、、不安しかありませんでした。

僕が小さいときに犬を飼っているお宅にお邪魔したとき、ソファーやカーペットがどことなく何かベトベトしていて部屋の隅には毛がやんわりと固まりになっていて今にもふわっと舞い上がりそうで見ているだけでむず痒くなる光景でどことなく落ち着きませんでした。
しかも何よりも苦手だったのはその獣のにおいとそれをごまかそうとした安っぽく深みのないきっつい消臭剤のにおいでした。

そのにおいに充満した部屋でショートケーキをいただきました。消臭剤の味と食感を連想した気持ちで通らないのどに生クリームを無理やり押し込んだ記憶があり、室内で犬を飼うとこういう風になるんだぁと脳裏に焼き付いています。



妻に対し幾度となく説得しました。

受け流されるだけで話が前に進まないし、説得といいつつ否定する言葉ばかり思いつこうと考えている僕はだんだん「単に妻を悲しませること」を考えているだけみたいだな。と思うようになり、気乗りしないながらも犬を飼う準備を一緒に始めることにしました。

インターネットでブリーダーさんのホームページを見たりしながら「この子がいい」とかはしゃいでいる様子を見てその機嫌のいい様子をほほえましいと感じつつも「宮崎なんて遠いから無理じゃない?」「この子の頭の白いラインがまっすぐじゃないね」「親犬が大きいからきっとマンションで買えなくなるくらい大きくなるよ」などなど、考え付く限りのアラ探しというか言い訳をして時間を稼いでいました。


妻はペットショップをまわったり、通りすがりでのぞいたりしていて、気に入った子がいると「今度見に行こう」と休日に私を連れてったりその場から写メ(その頃は)を送ってきてました。
でも後日、私が見に行くタイミングではその子がいたはずのゲージは空になっていたり、「ご家族が決まりました」という張り紙が貼られていたり、「残念だね」というのを何度となく繰り返していました。


でもずっと思ってました。。。諦めてくれないかなぁと

「犬を飼うには引っ越さないといけないね。」

一人暮らしをしていたワンルームに妻が転がりこんで来て暮らしていたので手狭でモノが片付かない様子もあったので広い部屋にしたいな。と感じていたことから、僕は犬を飼うこととは別の動機で引っ越しに賛成しました。

何軒も不動産屋さんをまわり、部屋をみてまわりましたが、しばらく物件を探しているとそのうち現在住んでいるマンションのオーナーさんが近所に新築のマンションを建てたというのでなぜか僕の方が先にが飛びついてしまいました。その頃の収入からすると少し背伸びした家賃であることを妻から指摘されましたが僕がここがいいと決めました。

ダメだといわれるだろうなと思いつつオーナーさんに「ペットを飼っていいですか?」と聞くと「ダメとは言わない。」というあいまいな返答でした。きっと「よそに迷惑をかけると追い出すよ。」といったようなニュアンスだったのでしょう。それを妻は何のためらいもなく前向きに都合よく解釈し、僕もそれに同意する形で話を進めました。


妻はそのころからまだ会いもしない犬の名前を「ミント」と決めていました。