2018年11月30日 てんかんの発作
11月30日 19:30頃
仕事中も何も手につかず、ミントをさびしい気持ちにさせたくない気持ちが膨らんではちきれそうでしたので、無理やりキリをつけ帰り支度を済ませてあと少しの定時を待ちました。きっと家に到着した時間は新記録です。
玄関のドアを開けてもそこにミントの姿がなく、家の中の空気が「いつもと違う」と、嫌な予感がよぎりました。
見たくないものを、受け入れたくないことを目の当たりにしてしまうのではないかという気持ちにもなりつつ、寝室かなぁと思ってみても布団にはミントが入っている膨らみはありませんでしたし、洗面所にもいません。
うずくまるミントの背中がテーブルの下にみえました。
おかしいの。うごかないの。かえってきたのうれしいよ
いま見返してみると、抜けていく意識を必死で取り戻そうとしていたように思います。
先生に見せる動画を撮った後、「ごめんね、ごめんね。こわくないよ。」って言いながら急いでテーブルをどけてミントを抱っこしました。
手足は力がなく、まるでぶらさがっているだけのようで、こんな手ごたえのないミントは初めてでした。お腹も異常なほど熱く熱をもっていた気がしました。
おちついた?
落ち着いてきたみたいですが、今まで以上にビクビクが大きい感じがしました。
このままだんだん落ち着いてくれるといいなぁ、、、
病院が閉まったころ
のどが渇いていそうだったので皿でお水を飲ませながら、ちょうど「あぁ、病院が閉まったなぁ」と思いつつ、ミントに「おやついる?」と声をかけたところ欲しそうな反応を見せたので、クッションの上に置いて冷蔵庫におやつを取りに立ち上がりました。
さすがについてはこないなぁと足元にまとわりついてくることを期待しながら冷蔵庫から柔らかそうなおやつを見繕い、おやつを待つミントのもとに戻り小さくわけて口元に近づけました。
ミントは少し首を伸ばして僕の手からおやつを口の中に入れたのですが力が入らないのか、すぐにポロッって口からこぼしてしまいました。それでも落としたおやつを床から首を傾げつつ平らげたので「食欲はありそうだから元気になるよな。」って自分自身を無理やり納得させようとしました。
直後、初めてのけいれんが始まりました。
ミントのこんな姿ははじめてみたので僕は慌てて、妻の携帯に電話して、ミントをクッションにくるみ寒くないようにってして家を飛び出しました。
「大丈夫だよ」って、全然自分が大丈夫じゃない僕の腕の中でミントの背中をさすりながら駆け出しました。エレベーターがこんなに遅く、いつもの散歩コースにある信号の赤が揺れて、その時間の長さを恨めしく感じたことはありません。
病院の前まで来ると、先生が病院の表でカギを閉めようとしていました。
「レジ閉めたから。。。」という先生に
「ミントが目をむいて真っ赤にして舌とか足を延ばして固まったんですけど。。。」と食い下がる気持ちで必死に伝えました。
でも、ミントのけいれんはもう治まっていて腕の中できょとんとした様子でした。
「てんかんの発作ですね。治まってるし、」と言われました。でも、何が何でもこのまま帰るわけにはいかない気持ちで立ち尽くしていました。
すると先生は「座薬を入れておきましょう。」と診察室に先導して招き入れてくれました。
すでに落ち着いて、診察台の上できょとんとおすわりしているミントのお尻を軽く持ち上げ座薬を入れてもらいました。
「明日、朝一番に改めてきます。」と言ってその場は引き揚げることにしました。明日、動画を見てもらえば症状がわかってもらえる。
帰りは歩きたそうに首を強く下に向けていたのですが、慌てて飛び出してきていたので、ハーネスやリードを持っていないことに気が付き「このままお散歩せずに帰るからね」と言い聞かせました。
でも、ゆっくり歩いている腕の中でウトウト眠そうにしていたような気がします。
11月30日 22:00頃
病院から帰って、ミントを包んでいたクッションをそのままリビングの真ん中に置き、いつも僕の寝ている毛布を折りたたんだままミントが収まる大きさまで広げて掛けました。
なかからミントは静かにじっと玄関を見ていました。
妻が帰宅すると、突然元気になりしっぽをブンブン振り回しながら妻の足元に絡みついて大歓迎っ!をしていました。
それを見て、「ああ、明日病院に連れていけば大丈夫そうだよなぁ。先生に動画を全部見てもらおう。そうしたら症状もわかってもらえるよなぁ」っと思っていました。
胸をなでおろしているその矢先、また痙攣が始まりました。
一番初めに見たよりは軽いようでカラダはピンッっと張り詰めるものの舌の先はまだピンク色の状態でした。でも5分くらいで治まってまたしばらく落ち着きました。
その後も軽い痙攣は断続的に続きました。
ミントに「大丈夫だよ。ここにいるよ」と声をかけ熱く固まったカラダを撫で続けました。
痙攣が治まると水を飲ませるために皿を口元に近づけました。
「そやねん。なんかのどかわいてん。」って風にゴクゴク音を立てて飲んでくれました。
そうやって、やり過ごしていたのですが、回数を重ねるにつれその間隔は短くなって、だんだん痙攣をしている時間のほうが長いような状態になってきました。
「座薬入れてもらったのになんでだろう?」っていう疑問がありつつも
「先生もあんな反応だったからワンコにはよくあることなんだ。きっとたいしたことではない」って自分に言い聞かせながら、不安がミントに伝わらないように「ミントぉ、大丈夫だよぉ」って声をかけながらずっと撫で続けました。
「はやく朝になってくれないかなぁ」って
わたし、どこぉ
これが最後のミントの鳴き声だとはその時は考えてもみませんでした。音量が大きいので再生は注意してください。
「ここにいるよ、一緒だよ!!」ってミントの声に負けないように、遠ざかっていくミントの意識に届くように叫びながら抱きしめて背中をいっぱいさすりました。
11月30日 ー12月1日 救急
24時をまわって12月1日になったとき、妻が「もう見てられないし救急病院に行こう」と声を震わせながら言いました。
僕も「今までもなんだかんだたいしたことなかったやん。」とかさっきの先生のそんなに緊急じゃなさそうな反応を支えに何とかこらえていた不安と焦りが堰を切ったように溢れました。
一番近くの救急病院に電話すると0:00で受付を終了したとのことで自動応答でした。
その時間でも受付をしてくれる救急病院を見つけクルマで向かうことにしました。
電話越しで「家にある保冷剤や氷でカラダを冷やすように」と指示を受け冷凍庫のありったけの保冷剤をタオルに包みミントと一緒に毛布にくるみました。
もう発作は落ち着いていたものの、腕の中でぐったりしていて、てんかんを起こす体力もなくなってしまったような、ミントじゃないような軽い手ごたえが不安を一層増大させました。
これが創作なら、なんて幸せなことだろう。
そうじゃなくても、これを書いてるぶんの時間が戻ったりしてないかな。
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